設計士さんとの相性



家を建てるにあたって、私たちはハウスメーカーという選択肢をもっていませんでした。

というのも、ハウスメーカーは自由度が低い割に高いというイメージがあったのと、一般的に求められる家のこだわりポイント=ハウスメーカーの"売り"と私たちのこだわりポイントがずれていると感じていたから。

もちろん、設計士さんに頼むのはもっともっと高くなるだろうな。とも思っていました。

それでも、いらない設備で高くなるのと、自分たちが求める部分を追い求めて高くなるならやっぱり自分たちが欲しい家をがんばって建てたい!だって住むのは私たちなんだから!!と決意し、土地探しと並行して設計士さん探しを進めていました。



ここでひとつ。

私の超・偏った主観ですが、個人宅を手掛ける設計士さんには2種類ある気がします。


ひとつは、クライアントの家でも「自分の作品」としてとらえる人。

もうひとつは、「クライアントの家」を作ろうとする人。


もちろん施主あっての設計ですから、前者のタイプでもクライアントの希望などはしっかり聞くと思いますし、後者のタイプでも設計士さんの個性や得意とするスタイル、思い入れなどは当然のことあると思います。

ですが、すごーーく偏った見方をすると、前者のタイプは自己表現の場としてクライアントの家づくりに取り組んでいるんじゃないかな、と。
(それが悪いとは言いません!)

その設計士さんの作風にほれ込んで、「全ておまかせします!かっこいい”建築家の家”に住まわせてください!」というスタンスの人や、設計士さんのスタイルに賛同しつつ、よほど確固たるイメージを持って能動的に家づくりに挑んでいる人でないとちょっとした消化不良になってしまうような。

要は、施主側の向き不向きがあるのが前者のタイプかな、と。


向いてるタイプ診断とかあればいいのに


私たちが当初お願いしようと思っていた設計士さんは、前者のタイプでした。

ネットであれこれ探して、施工例も良さそうで料金についての言及もあり、ブログから垣間見える家づくりにおいてのこだわりポイントも私たちと近いと感じた建築事務所。
土地探しの段階から相談にのってくれて、実際に会っての印象も良かったんです。求める家の価値観が似ているな、と。

低予算の家や、それほど大きくない家も手掛けているのも、私たちの身の丈にあった家がつくれそう、と思えたポイントでした。




・・・話は戻って、その設計士さんに決めようと思った土地を見てもらったときのこと。

現地を見てざっくりとプランの方向性を話すつもりで向かった現地視察でした。
言わば、二人三脚のスタートラインに立って、よーい、どん!の構えをしたそのとき。



「この土地でその予算じゃ、フッツーの家しかできませんよ」



この言葉を聞いた時の私たち。どんな顔をしていたんでしょう。
自分の耳を疑うような衝撃的な言葉だったのは覚えています。


追い打ちをかけるように、

「みなさんもっと(ローン組んで)予算あててますよ」

とも。


私なんて半分涙目です。
そんなこと言ったって、これが私たちの精一杯の予算なんだもん。。
この価格と広さだってもう出会えないだろうし、、、


大まかな予算はもともと伝えていたのですが、どうやら家のほうにもっとかけられると思っていたようです。

その設計士さんの「作品」を作るには、予算が足りないと判断された私たち。

全てお任せなら小さーく作ってディテールは思う存分!みたいにやれなくもなかったのかもしれませんが、私たちが「全てお任せスタンス」ではないことも彼はわかっていて。


設計士さんのやりたくない気持ちがひしひしと伝わってきて、もう逃げ出したい気持ちでいっぱいでした。

が、そのあと設計士さんも踏まえての不動産屋さんとの打ち合わせがあったのでそんなワケにもいかず。
(そうじゃなくてもそんなワケにもいかず)

とにかく土地はもう心を決めていたので、いろんな意味でテンションだだ下がりの3人で事務所へ向かい、不動産屋さんに購入の意図を伝え手付金を支払いました。



通常なら、ここから少しペースダウンして設計士さんともう少し話して妥協点をみつけたりとするところだと思うのですが、私たちの土地はちょっと特殊な例で、県への申請やら何やら手続きが煩雑、しかも期限付きで、その手続きをしてくれる不動産屋さんに早急に大まかな図面を渡さなくてはならず。

やりたくないオーラを隠そうともしないその設計士さんとそんなスケジュールで打ち合わせて良い家が作れるとは到底思えず、これまでお付き合いいただいたお礼と、お互いにこのまま進むのは良くないでしょう、という話をして関係を解消しました。

いま思えばですが、正直にやりたくない気持ちをだしてくれて良かったです。
本心を押し殺して、イヤイヤ手がけてもらっていたら、きっとお互いしこりとなって、家の居心地も悪くなりそうですから。

そして、私たちは先生タイプの設計士さんではなく、クライアントに寄り添ってくれるような設計士さんが合っているんだということも悟りました。


しかし、悟ったところでそんな設計士さんに知り合いがいるわけでもなく、またゼロから設計士さん探しを、、と思っていたときに、再び、一筋の光が差し込みます。

光ふたたび!


それは、思いがけず身近なところからの救いの手でした。


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