予算との戦い~客間編~


いよいよスタートした家づくり。

最初から最後までつきまとった問題はズバリ、"予算"でした。


なぜなら、無謀にも私たちの予算は、そのエリアで建売を買えばおつりがくる、という程度のもの。

自分たちでも設計士さんにお願いする予算ではない、と重々承知していました。(その意味では、打ちのめされた設計士さんは正論でしたね。。)

ですので、様々なところでコスト削減の努力を惜しみませんでした。



ウィリアム・クライセルがパームスプリングスで分譲住宅を手掛けたときの逸話にこんなものがあります。

”キッチンの造作家具は引き戸を採用したクライセル。これは、蝶番などの金具を極力減らしてコストを削減するためだったという。
さらに、初期の家ではパームスプリングスの気候を踏まえて断熱材を無しとしたのも、大幅なコスト削減を目指してのことだった。”

ウィリアム・クライセル


住み心地とかっこよさを限られた予算で実現するにはそういった「いる・いらない」をしっかりと精査する、小さな努力の積み重ねが必要なんですよね。

クライセルの場合は分譲住宅なので塵も積もれば、、で大きなコスト削減になったと思われます。

私たちの場合はそんな小さな努力を積み重ねても大き目の塵くらいでしかないのですが、それでも、自分たちにとって必要なもの・必要ないものをしっかりと考えることができたので、無駄な努力ではなかったと思っています。


そんな、有能なデザイナーですら立ち向かった”予算との戦い”。

今回は「客間編」と題してお送りします。



さて、ローンの金額も土地の広さもまだまだ未定で夢だけがふくらんでいたときに私たち夫婦が思い描いていた家に入れたい要素はこんな感じでした。

・客間
・音楽室
・図書室
・書斎
・手芸や工作のワークスペース
・広ーい土間

などなど。


夢とはいえ無謀すぎます。


その後、限られた予算と土地でだんだんと現実が見えてきて、建坪を30坪に抑えるという最大のミッションを前に客間は真っ先に却下となり、広くない土間スペース(玄関)になり、、

音楽室などに至っては恥ずかしくて設計士さんにはとても言い出せず、納戸兼フリースペースとして作ってくれた部屋を自分たちで音楽室兼書斎兼作業室と捉えて現在使っています 笑
(この話はまた後日)



話がズレましたが、客間問題は多くの人が直面する要素だと思います。

リビングと続きになったエリアにふすまで仕切れる和室、というスタイルをよく目にするあたりから、それほど頻繁には使わないけど無いのは困るかも、、という気持ちが見えますよね。


私も実家が遠方、友人たちも遠方で、誰かが遊びに来る=泊りとなるので、気兼ねなく泊ってもらえる客間は必須条件でした。

それに、子供のころ海外文学にはまっていて、ベッドとチェスト、ちょっとしたテーブルとイスを置いて、絵を飾ったりアメニティを用意したり、、という「ゲストルームをしつらえる」というのにもずっと憧れがあった私。

家を建てるとなった当初は自分たちの寝室よりもあれこれ思い描いていたほどだったんです。

”日常”を排した部屋づくりができるのは、インテリア好きにはたまらないですよね。。


でも、一坪でも建坪を小さくする必要に迫られたとき、冷静に考えてみたんです。「年に何回、誰が泊りにくる?」と。


我が家の場合、地元の近い夫関係の人が家に泊まることはまず考えられません。そして、私の友人はほぼ都内住まい、私も気兼ねなく泊れる親類宅があるので、会うとなったら私が上京することがほとんど。

そうなれば、泊りにくるのは私の両親くらいになってきます。それも、こちらから行くことが多いので来るのは年に1・2回でしょうか。

さらに、親の年齢を考えると自分たちで車を運転して来るのもあと5・6年が限界かな、とも。(行けると言われても私がやめてほしいですしね ^^;)


そんなこんなを踏まえると、客間いらないかも?となってきたのです。


リビングの一角を畳敷き、というのも一瞬頭をよぎらなくもなかったですが、収納を減らしてでもリビングを広くとりたいと思っていたので、それもしませんでした。
一続きの空間といえども、床材が変わったら広さを感じにくくなるかもという心配があったのと、どうしても畳スペースがほしくなったら畳のマットも洗練されたデザインのものが出回っているのでそれでいいかな、と。




そうしてできた客間のない我が家。

この2年ほどで私の両親は数回、兄弟や友人も2・3回遊びにきてくれて、子供部屋となる予定の部屋をゲストルームとして提供しました。

味気も色気もないけど、、即席の客間。

息子が小学生になるまではこのスタイルでやっていけそうです。
小学生になっても、半分はまだまだ空き部屋なので、少なくともあと7・8年は乗り切れるかな。

(と書いていて嬉しい事実に気が付いた。10年近くあるならもっと作りこんで良いよね!?)


というわけで、我が家の場合は客間をカットして(今のところは)全く問題ないです。

追々どうしても必要、となったら万能スペースの納戸に、”兼客間”の文字も加えようと思います 笑


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